当院で用いているカイロプラクティックの技術や理論はおおむね NC理論(ニューカイロプラクティック理論) と呼ばれるもので、ここではそれらは一体どのようなものなのか簡単に説明します。

【NC理論(ニューカイロプラクティック理論)の定義】
NC理論、すなわちニューカイロプラクティック理論は、従来のカイロプラクティックの枠組みを拡張し、統合的な哲学に基づいて構築された徒手療法の体系です。
従来のカイロプラクティックとの違いは単に筋骨格系の構造的な調整にとどまらず、自律神経系の機能調整、体質の根本的な改善、および内臓機能の調整など総合的な改善を目指すという特徴があります。
それにより人間が本来備えている自然な回復力、すなわち自然治癒力を最大限に発揮できる状態へと身体全体を調整する(=イネイト・インテリジェンス)ことが可能となりました。
施術における特徴としては、刺激の少ない優しいアプローチが中心となります。これにより施術による揉み返しや不必要な反射や防御反応を避け、従来のカイロプラクティックでは禁忌となっていた症状への施術を可能としました。
【NC理論の歴史的・哲学的背景】
徒手療法界は、19世紀末にD.D.パーマーによって創始されたカイロプラクティック と、A.T.スティルによって創始されたオステオパシーという二つの主要な流れによって発展してきた側面があります。
カイロプラクティックは、神経系の機能回復を主眼とし、B.J.パーマーが発展させた上部頸椎専門のアプローチは、特定の脊椎分節の調整を通じて病気の治癒を図るという哲学を確立しました。
NC理論は、このカイロプラクティックの系譜を踏まえつつも、その限界を克服しようとする現代的な試みとして位置づけられています。
20世紀後半から、徒手療法の専門家たちは、筋骨格系の構造的なサブラクセーション(骨の変位)の修正だけでは、ストレスや環境要因に起因する複雑な慢性疾患や自律神経失調症に対応しきれないという課題に直面してきました。
このような背景のもとNC理論は構造的な問題だけでなく全身のシステム的な機能不全に対応するためオステオパシーの哲学と技術を取り入れてきました。
これによって施術による防御反応を回避しつつ神経学および体液動態学という生命維持の根幹に関わる二大システムに同時に介入することを可能にしポスト・メカニカル・サブラクセーション・モデルへという概念へと成長してきました。
【神経回路への焦点】
脊髄神経の圧迫や神経伝達の回復を重視する伝統的なカイロプラクティックの思想はNC理論においても「神経回路」へのアプローチ として残っています。特に脊椎を介した神経伝達機能の回復だけでなく広範な自律神経系の機能的なバランスを調整することに重点が置かれています。
従来の構造的なサブラクセーションの解釈からNC理論は自律神経系の不均衡や体液循環の滞りといった「機能的なサブラクセーション」へと解釈を拡大させたことにより、神経系を全身の恒常性維持(=ホメオスタシス)をコントロールする最高中枢としてとらえています。体液循環と神経回路の両方へアプローチをかけることによって施術の効果を短期的には当然のこと中長期的にも維持させるという事が可能となりました。
神経回路へのアプローチは中枢・末梢の神経伝達効率の改善と自律神経系のバランス回復を目的としていて、体液循環へのアプローチは組織間の代謝を最適化し炎症性老廃物の除去を促進し細胞レベルでの環境を改善することを目的としています。
二つのヒトの生理学的恒常性へのアプローチによって人間が本来備えている自然な回復力、すなわち自然治癒力(=イネイト・インテリジェンス)を最大化させることが可能となります。

【体質改善と優しい矯正の持つ生理学的な意義】
NC理論における「体質改善」 は慢性的な炎症や代謝異常の改善を意味し体液循環の促進と自律神経の正常化を指します。
NC理論の「触れるようなアプローチ」という優しい矯正は侵害受容体への強い刺激により交感神経系を一時的に活性化させる事による揉み返しやかえって症状の悪化を防ぐというアドバンテージがあります。
また優しい矯正によって副交感神経を優位にさせるという極めて重要な利点も側面もあります。副交感神経が優位な状態、すなわちリラックス状態は体液循環(特にリンパ液や脳脊髄液)を促進し自然治癒力(=イネイト・インテリジェンス)を最大化させることができるからです。
このように、NC理論は短期的な効果、つまり即効性を重視しながらも安全で長期的な体質の改善をも狙うアプローチとなっています。
【NC理論の革新性と今後の課題】
このようにNC理論は従来のカイロプラクティックの神経学的な視点とオステオパシーの体液・内臓の視点を組み合わせることで構造、機能、そして生体の恒常性維持機構を統合的に調整するということを全体的な目的としています。
「論より証拠」という諺もありますが、NC理論の実証的な妥当性を確立するためには当然厳密な科学的検証が不可欠でありエビデンスレベルの向上には今後以下の課題が挙げられます。
1、作用機序の定量的な検証: 優しく安全な矯正が具体的にどの生理学的経路(例:迷走神経活動、炎症性サイトカインレベル、脳脊髄液動態)を通じて内臓機能や免疫系に影響を与えるのかを定量的なバイオマーカーを用いて明確に検証する必要。
2、臨床有効性の確立: 糖尿病やアトピー性皮膚炎といった医学的な診断を持つ疾患に対してNCテクニックの有効性をランダム化比較試験(RCT)によって評価しエビデンスベースを構築することが、学術的コミュニティにおけるNC理論の地位を確立するために必要不可欠。
従来のカイロプラクティックが構造的な問題解決に偏りがちだったのに対しNC理論では慢性疾患や予防医療の分野へと領域を拡大することができるという可能性を秘めています。
今後基礎研究および臨床研究の進展によりその作用機序と有効性が科学的に裏付けられればNC理論は薬物療法や外科的治療を補完する重要な統合医療的アプローチとして、社会的な影響力を増していくことが期待されています。
以上が、当院で用いているカイロプラクティックの理論であるNC(ニューカイロプラクティック)理論でした。
今後も勉学に励み施術効果の最大化を図っていきますのでよろしくお願いいたします。
国立駅前カイロプラクティック整体院







