当院では専用のベッドを使い背骨と骨盤を矯正して身体のバランスを整えています。
肩や足など離れたところに症状を感じている患者さんでも、まずは背骨と骨盤から全体的なバランスをみていきます。
今回は、「なぜバランスを整える必要があるのか?」についてお話していきたいと思います。
人の身体は剛体であり固定する場所と動かす場所を分けることにより、動き回ることができます。それができなくなるとバランスを崩し転倒しやすくなってしまいます。
ラグビーやレスリング、柔道などの競技でバランスを崩し地面に倒れたり、ギリギリの所で踏ん張りそこから体勢を立て直したりする場面などがありますね。また転びやすい選手、転びにくい選手などの差もみられます。
ではバランスを崩すときと崩さないときの違いはどこにあるのでしょうか? また、人のバランスの位置は身体のどこにあるのでしょうか?
重心の位置はどこ?
運動学においてバランスの位置は「身体重心位置(しんたいじゅうしんいち)」と呼ばれ、立っているときの重心の位置は骨盤内(仙骨のやや前方)にあると言われています。(後述しますが男女差があります)右の図のオレンジの丸の部分が一般的な重心の位置と言われています。
“重心”とは質量の中心であり、身体の中で最も動きの少ない場所です。そこを中心として様々な方向に回転できる場所である必要があります。
歩く際の重心の位置は上下に約4~5cm、左右に約3cm幅で移動します。つまり歩いている際の重心は骨盤の中で八の字を描くように動くことでバランスを保っています。
大人では重心はお臍(へそ)よりも少し下にありますが、子どもの場合は重心がお臍よりも上にあります。
子どもは身長が低いですが、身長に対して頭が大きいため重心の位置が高くなってしまいます。子どもが転びやすいのはこのためです。
最も安定する姿勢はなに?
最も重心が安定する姿勢は「寝た姿勢」です。理由は重心が最も低く、地面に接している面積が広いからです。
では、普段の立っている状態で姿勢を安定させるにはどうしたら良いでしょうか?
立っているときは横から見た際に、耳と足のくるぶしを結ぶラインがまっすぐになる。正面から見たときに、背骨を結んだ線が垂直になる。この二つが重要です。右の図のオレンジのラインです。
どんな体勢であっても姿勢を安定させる要素は以下の通りです。
- 重心の位置が低い
- 地面と接している面積が広い
- 質量が重い
- 摩擦力を受けやすい
- 構造がシンプルである
※シンプルな構造というのは、四角形や円形などの単純な形。
ちなみに私たち人間の身体は上半身、下半身、腕、脚、首、頭などに分かれ複雑な構造になっているため安定性は低いです。
では筋肉はどうでしょう?
筋肉量が多いほど重心は安定しやすいでしょうか?
答えは「No」です。
筋肉量が多いほど重心の位置が身体の中心から抹消へ移動しやすく、バランスを崩しやすいという研究結果が出ています。
身体を支えている脚の筋肉で見てみていきましょう。
ふくらはぎ(つま先立ちになるときに使う筋肉)の筋肉が発達している人は無意識のうちに重心が前方に傾いてしまい、バランスを崩しやすい傾向にあります。
意外ですが同じ体型でも筋肉量の少ない人の方がより重心は安定しやすいということになります。
もちろん、接触スポーツ等の様々な衝撃には筋肉が支えとなりますが、目を閉じて片足立ちになりバランスを取るや電車内での揺れ等にはかえって不安定になってしまいます。
男女での重心位置の差
重心の位置は男性が足から約56%、女性が約55%の高さにあります。
個人差や計測法によりバラつきはありますが、いずれも男性と比べ女性の方が重心位置は低い位置にあります。
これは妊娠や子育て等で身体を支える機能を重視する必要があるからです。
また、重心位置の高さだけではなく前後の位置でも男女差が見られます。
男性は女性よりも重心位置が前の方にあり、前傾姿勢になりやすい傾向にあります。
女性は逆で後方に重心が寄りやすく、後傾姿勢になりやすいです。
このような微妙な差があることで、男性の方が短距離走などのスタートダッシュに向いていると言えます。
人間の身体は右側の方が若干重いため、普通に立つと自然と重心は右側に寄ってしまいます。
動くときには無意識のうちに重心の位置を調節し左右の重さや傾きの均衡を取っています。その中で疲労や悪い姿勢を続けることにより大きく重心の位置が崩れるようになり、特定の筋肉だけが固まってしまったり躓きやすくなったりしてしまいます。
このように重心の位置というのは目に見えるものではなく、また自分自身の努力で修正できるものでもありません。
当院では矯正専用のベッド(トムソンテーブル)を使い、痛みなく歪みを矯正しています。
”「体が曲がっている」と家族に言われた” や “近頃、躓くことが多くなった” などの些細なことでも結構です。
バランスに関するあらゆるお悩みは当院にお任せください。
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