体のコラム

健康について考えるコラムです。お時間ある時にご覧ください。

立位と座位における仙腸関節の運動と内圧の変化

当院の用いているNC理論ではかかせない「仙腸関節」に関する話です。

仙腸関節(SIJ)は、骨盤の安定性を司る重要な関節です。
立位から座位への姿勢の変化に伴い、関節内ではミリ単位(1–4°程度、1–2 mm)わずかな動きと、大きな内圧(荷重)の変化が生じます。

 

【立位】
立位では、重力による剪断力が最も強く働きます。

上半身の重みが仙骨を前下方に押し下げます。
これにより、仙骨の底面が前方に傾くニューテーション(うなずき運動)が生じます。

この動きにより、仙腸関節周辺の靭帯がピンと張り、関節面がより強固に圧着されます。これをフォーム・クロージャー(形態的閉鎖)と呼びます。

体重が両方の関節に均等に分散されますが、垂直方向の荷重が大きいため関節面には高い圧縮ストレスがかかります。

よって立位時の仙腸関節は、関節面の圧縮力、関節内圧の上昇により安定します。

 

 

【座位】
座位の状態座位に移行すると、骨盤の土台が足から坐骨へと変化し、関節の挙動が逆転します。

骨盤(寛骨)が後方に回旋し、相対的に仙骨の底面が後方に傾くカウンターニューテーション(起き上がり運動)が起こりやすくなります。

立位で緊張していた靭帯が座位では緩む傾向にあり、関節の遊び(可動性)が大きくなります。この状態をフォース・クロージャー(力的閉鎖)の低下と呼び、周囲の多裂筋や腹横筋などによるサポートがより重要になります。

股関節による衝撃吸収がなくなるため、椅子の硬さや座り方によって、関節の一部に局所的な高圧がかかりやすくなります。

長時間の座位座位は立位よりも関節が緩い状態になりやすいため、長時間同じ姿勢でいると、周囲の軟部組織が伸張され、仙腸関節性腰痛の原因となることがあります。こまめに立ち上がることで、再びニューテーションを誘発し、関節を安定させることが推奨されます。

よって座位時の仙腸関節は関節内圧、関節面の圧縮力、靱帯張力が低下することにより立位と比較し不安定となります。