体のコラム

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急性腰痛に対する脊椎マニピュレーション療法(SMT)の臨床的利益と有害事象の関連に関する論文

 

信頼性の高い分析論文を掲載しているJAMAに掲載された論文です。

 

急性腰痛に対する脊椎マニピュレーション療法(SMT)の臨床的利益と有害事象の関連

(Association of Spinal Manipulative Therapy With Clinical Benefit and Harm for Acute Low Back Pain)

https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2616395

 

 

目的:急性腰痛(発症から6週間未満)の患者に対し、脊椎マニピュレーション(SMT)が、痛みや身体機能の改善においてどの程度の効果があるのか、また安全性を再評価すること。

 

前提:カイロプラクティックは脊椎マニピュレーション療法(SMT)を提供する専門分野とされています。

 

方法:

  • 研究デザイン: 2011年1月から2017年2月までの期間に発表された研究を対象とした系統的レビューとメタ解析。
  • 対象: 急性腰痛患者を対象とした26件のランダム化比較試験(RCT)。
  • 評価項目: 「痛みの強さ」と「身体機能(日常生活の制限)」の2点。

 

 

結果:痛みの改善(有意な効果あり)

15件の研究(計1,711人)を統合した結果、SMTを受けた群は、受けなかった群(偽治療や標準ケア)に比べて、統計的に有意に痛みが軽減しました。

  • 改善の程度は、100mmの痛みスケール(VAS)で平均 -9.95mm でした。
  • 身体機能の改善(有意な効果あり)

12件の研究(計2,526人)を統合した結果、身体機能のスコアも有意に改善しました。

  • 靴下を履く、歩くといった日常動作のしやすさが向上しました。
  • 安全性(深刻なリスクはなし)

どの研究においても、脊椎マニピュレーションによる深刻な有害事象(骨折、馬尾症候群、神経損傷など)は報告されませんでした。

 

 

結論:急性腰痛の患者に対して、脊椎マニピュレーション(SMT)は痛みと身体機能を中程度に改善させる。 この改善効果は、一般的に処方される鎮痛薬(NSAIDs)などと同等であり、非薬物療法として推奨できる。

 

原文リンク(参照):https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2616395

 

 

この論文から読み取れる「ポイント」

  1. 「とりあえず安静」より「手技」

かつては急性腰痛は「安静」が一番と言われましたが、この論文は「脊椎マニピュレーションという積極的な介入には、統計的に確かなメリットがある」と背中を押しています。

 

  1. 安全性への信頼

「カイロプラクティックは怖い」というイメージに対し、適切な訓練を受けた専門家による施術であれば、急性腰痛において重篤なリスクは極めて低いことをデータで示しました。

 

  1. 劇的ではないが、確実

「一瞬で痛みがゼロになる」というような誇大な表現ではなく、「医学的に見て意味のある、しっかりとした改善が見込める」という冷静な評価を下しています。